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ウィーンにて(11月17日、後編その二) [monologue]

本日の最終目的地はウィーン分離派会館

明日月曜日は休館日なので今日中に行かねばなりません

_RIM0117

途中でスーパーに立ち寄りミネラルウォーターを購入

炭酸水も好きですがこの時はガス無しが飲みたかったんです

第二外国はドイツ語だったはずなのですがどれがガス無しなのか分からず、

店員さんに聞いてみると親切に教えてくれました

若い男性だったのですが微笑みが素敵でとても感じの良い方でした

ホテルスタッフの方もそうでしたがウィーンの人たちはとても親切で、

人で嫌な思いをすることが滞在中ただの一度もありませんでした

分離派会館のお目当てはクリムトの大作壁画ベートーヴェン・フリーズです

フリーズとはドイツ語で“帯状の装飾”のこと

ベートーヴェンへの賞賛をテーマに1902年、ここ分離派会館で開催された、

「オーストリア造形芸術家協会第十四回展」のために制作されました

壁画の高さは2メートル、長さは34メートルにもなる大作です

残念ながらNo Photoなので壁画はネットから画像をお借りしました

階段を下りて地下へと向かいます

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この作品のためだけに特別展示室が地下に作られています

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ベートーヴェンの第九交響曲(ならびにワーグナーの第九に対する解釈)へのオマージュです

入口を入って左から順に

「幸福への憧れ」

浮遊する精霊は愛と幸福への憧れを表しています

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裸の男女は人生の苦悩を表し、完全武装の勇者(黄金の騎士)に救いを求めます

黄金の騎士は選ばれし者として幸福を探しに出かけようとしています

騎士を支える左の人物が功名心を、右の人物が同情心を表しています

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「敵対する力」

中央の壁画のほとんどを占めているギリシャ神話に登場する怪物の王テュフォーンは、

(神話で火を放つと言われる目は描いたものでなく真珠貝をはめ込んだ螺鈿細工です)

罪深い情熱を表しています

左に並ぶのは会館正面入口にも飾られているテュフォーンの娘であるゴルゴンの三姉妹

姉妹の上部に立つ仮面のような女性は病、狂気、死の寓意で、

右の三人の女性はそれぞれ淫欲、不道徳、不摂生の寓意です

「敵対する力」によってもたらされる上記の危険と誘惑に、

人類が立ち向かわなくてはならないことを表していますが

僕はそれとともにもうひとつの解釈を持っています

それは「敵」を求めずにはいられない人間の悲しさ

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「心を蝕む悲しみ」

敵を求め、敵を得てしまった故の悲しみではないでしょうか?

それでもこの暗く悲しく危険な情熱に満ちた場面の中にあっても、

愛と幸福への憧れを表していた精霊像が画面の右上隅に描かれています

“人類の希望に対する憧れは敵対する力の上を越えていくのである”

展覧会当時のカタログに掲載されていたクリムトの言葉です

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「詩」

我々人類の幸福への憧れは詩の中にその慰めを見出し、癒されます

竪琴を手にした女性は詩そのものを表しています

詩に続く画面は何も描かれていません

展覧会当時もこの壁画は会場の上部に展示されていたのですが、

壁画の下に開け放たれた空間を通して隣の部屋のベートーヴェン像を観る際、

余計なものが視界に入らないように予め会場のデザインとして配慮されていたのです

またクライマックスをもりあげるための“準備”でもあるのです

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やがてさまざまな芸術を象徴する女性たちの祝福を受け

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「この口づけを全世界に」

芸術による理想郷で天使たちのコーラスを前にキスをしながら抱き合う男女

第九交響曲の最後を締めくくる「歓喜の歌」の一節、

“この口づけを全世界に”をクリムト流に表現しているのです

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公開当時大批判を浴びていたせいか当初は展覧会の終了とともに破棄される予定でした

それを美術コレクターが買い取りやがてユダヤ人の実業家の手に渡りましたが、

第二次大戦前後の混乱でしばらく行方不明だった時期もあり、

紆余曲折を経て1973年、オーストリア政府の所有となりました

こちらは特別展示室前のフロアに設置された写しで、

裏から見ると壁画の構造が分かるようになっています

細心の注意を払い、修復には十年の月日を要しました

(修復のもようも写真や映像で見ることができます)

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クリムトが好きな人だけでなくベートーヴェンがお好きな方にもぜひ観てもらいたい作品です

クラシック音楽が好きな方はウィーンをより楽しむことができると思います
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